バラは言わずと知れた「花の女王」。ギリシャの女神アプロディーテが海の泡から誕生したとき、天から降って生まれ出た、という花にふさわしいこの名は、紀元前600年頃に詩人サッフォーが唱えたとも言われています。それほど、古くから人びとに愛されてきた花で、もともと一重の5枚の花びらを持っていましたが、今では品種改良によって花弁が幾重にも巻いたものが多種作られ、その数は今では2万種を超えているそうです。
そして花の女王・バラは、もちろん香りの女王でもあるでしょう。古くはクレオパトラが愛し、マルクス・アントニウスを誘惑するための饗宴では、床になんと40cmも花びらを敷き詰めた、という逸話が残っています。ナポレオンの皇后ジョゼフィーヌのバラ好きも有名で、250種ものバラを蒐集し、また画家に図鑑を残させるなど、後世の研究、品種改良の礎となる功績も良く知られたことです。その後もその香りは常に多くの女性を魅了し、現代の香水でも、バラの香りがベースで作られているものは挙げるにことかきません。